5/25「特別対談 平田満×三浦大輔 “つかこうへい”と“三浦大輔”、それぞれの稽古場」

60 70年代のアングラ時代に産み出された戯曲を若手演出家が手がけるという、池袋の東京芸術劇場で新たに立ち上がる「Roots」というシリーズ。その第一段が、つかこうへいさんの『ストリッパー物語』を、ポツドール三浦大輔さんが構成・演出という、魅力的な組合せ。7月に上演される。

今日は三浦版『ストリッパー物語』のプレトークとして、「特別対談 平田満×三浦大輔 “つかこうへい”と“三浦大輔”、それぞれの稽古場」が行われました。奇しくも来年、平田さん主催のアルカンパニーで三浦さんが作・演出を手がけることになっていて、三浦さんはつかさんに縁づいてると言ってた。

お話はつかこうへいさんの当時の稽古について、三浦版『ストリッパー物語』について、半々位だったかなあ。興味深いお話は聞けたのはすごくありがたいけど、司会の方の質問がちょっと…な感じでした。うまく組み立てられてなかったし、三浦さんについての質問浅いっていうか…。あと司会の方がつかさん好きなせいなのか、観客がつかさん芝居知ってる前提な内容だった。つかさん知らないだろう若いお客さんも多かったから、まずつかさんそして『ストリッパー物語』について、概要の説明があってもよかったと思う。

今回の『ストリッパー物語』のきっかけは、芸劇から三浦さんに声がかかったから。最初は『熱海殺人事件』をやりませんか?とオファーを受けたが、戯曲を読んだら「無理!」って思って、ことわったそう。

次に挙がったのが、同じくつかさんの『ストリッパー物語』で。戯曲を読んでみたら、三浦さんがいままで描いてきたことに通じるものがあるなあと思えてオファーを受けたそう。

平田満さんの三浦さん作品の印象。いまの若い人のリアリティがあること、ダメな人を描いていることなどがいいと思う。だからアルカンパニーの作・演出をお願いしてみた。

つかさん芝居で育った平田満さんが語る、当時のつかさんの稽古風景はとてもおもしろいものでした。『ストリッパー物語』初演時、ストリッパー役の根岸季衣さんが踊れるもんだから、延々と踊りの稽古ばかりしていて。平田さんたちが稽古したのは、開幕1週間前位だったとか。

つかさんがセリフを考えてる間、音楽かけて、役者は歌いながら腹筋してたとか。音楽が終わっても、セリフが浮かばないと、つかさんが同じレコードをまたアタマからかけたとか。

つかさんは“口立て”(台本なしでその場でセリフを口伝えする方法)なので、稽古をやる度にお芝居が変わってくとか。だいたい、だんだん長くなっていったとか。幕が上がっても、千秋楽まで変え続けていたとか。『ストリッパー物語』も何度か上演されたけど、その度に違う作品になっていたそう。

三浦さんはつかさんの“口立て”の稽古に興味津々で。「つかさんの戯曲を読むと、やはり机の上で考えたセリフとは違う」と言っていた。

『ストリッパー物語』は、いくつもバージョンがあって。なので、今回の三浦版では、戯曲、映画、小説から抽出する感じで再構成している。あくまでもつかさんの言葉を生かしたいので、三浦さんが新しいセンテンスを足したりすることはしないそう。

三浦さん曰く、今度の『ストリッパー物語』では、つかさんがやってたように観客に語りかけるようにするのではなく、日常の中で話すように演出したい。それが自分ができることかなと。また、つかさんのセリフはおもしろいから、それだけでお客さんの興味をひけると思ってるそう。

つかさんの芝居は暗幕だけで演じられることが多かったけど、三浦版『ストリッパー物語』はセットを作って見せたいとのこと。

三浦さんはつかさん芝居を見たことがない。なので、変な先入観がない。だから自分なりの『ストリッパー物語』が作れるんじゃないかと思ってる。


三浦版『ストリッパー物語』のキャストは、ほぼ三浦さんの思い通りに出来たそう。主演のリリー・フランキーさんについては、演じるということではなく、つかさんの言葉を語った時に説得力がある人というので、リリーさんがまず思い浮かんだそう。

三浦さん自身の稽古について。アタマの中にイメージがあって。それから1ミリでもズレると気持ち悪くて。延々、同じところを繰り返したりするそう。それでも、結局、イメージとはズレるんですけどね…とのこと。

三浦さん、役者さんに「ここは5秒で」みたいに細かく指示するそうで、さすがドS!と思いました。

三浦さん曰く、いろんな年代の人に『ストリッパー物語』を見に来て欲しい。リアルタイムでつかさん芝居を見てたような方から、僕に興味があるような若い方まで。