7/20「時代を築いた作家たち?アルベール・カミュ」

シアタートラムで、戯曲リーディング「時代を築いた作家たち?アルベール・カミュ」を見た。読まれた戯曲は、『誤解』(1944年)、『正義の人びと』(1949年)の2作品。どちらも重め。でも私がイメージするカミュより、ずっとストレートなお話だった。演出は、柿喰う客の中屋敷法仁さん。

カミュ自身による作品解説や年表など、内容みっちりの当日パンフ(8p)が折り込まれてた。こういうの、作品の補助線として助かる。とくに興味深かったのは、カミュの年表。共産党に入ってたり、レジスタンス活動してたんだなあ。そして戦争と作品がリンクしてるんだなあ。

カミュが亡くなったのは1960年、まだ46歳の時。んで今年2013年が生誕100年。カミュって古典のイメージだけど、決して遠い時代の人ではないんだなあ。そして、ずいぶん若い時に才能を発揮してたんだなあ。

ステージにはテーブルと椅子だけの簡素さ。衣装も、『誤解』は全身黒、『正義の人びと』は白のトップスに黒のボトムという、ごくごくシンプルな感じ。照明も、音楽も、押さえめ。その分、役者さんの言葉や肉体が浮かびあがるような感じだった。

かなり私得なキャストでした(以下、敬称略)。『誤解』は、黒木華町田マリー久世星佳山中崇菅原永二。『正義の人びと』は、黒木華久世星佳菅原永二中山祐一朗中村靖日山中崇中屋敷法仁、町田マリ―。

カミュのふたつの作品の登場人物たちは、とにかく、よくしゃべる。というか、しゃべりまくる。それを役者の皆さんは、うまく自分の言葉として発してらした。私は、実はリーディング公演って、そんなに得意ではないんだけど、今日は引き込まれたなあ。

カミュのリーディング、役者さん全員よかった。とくに印象的だったのは、『誤解』での久世星佳さんのくたびれ感、『正義の人びと』での菅原永二さんの説得力、山中崇さんの繊細さ…かな。あと映像で印象的だった黒木華さんは、舞台の上でも独特の存在感だった。なんか目がいってしまう人だった。