映画『花様年華』

六本木シネマートとキネカ大森で、ひさびさにウォン・カーウァイ王家衛)監督の『花様年華』を見直した。カーウァイ作品の中でも、好きな作品のひとつ。

自分が年重ねてから見ると、また印象違うね。大人同士だからこその恋のせつなさは変わらないけど、記憶より人間模様うごめいてた。とくにトニーさん。マギー・チャンに、結構あからさまにせまってたんだなあ。もっと抑えた関係性だったと思ってた。

トニー・レオンさんの大人の男の色気よ。とくにセリフない部分で、匂い立つようでした。あと手がステキ。はぁあ。そして、マギーへのかなわぬ思いがせつない。既婚者同士ってハードルが、いまよりずっと高かった頃だからこその物語だ。そして鳥頭なので、最後のトニーさんひとりのシークエンスとかすっかり忘れてたよ。

花様年華』、人間模様はもちろんだけど、1960年代の香港の美学にグッとくる。ウォン・カーウァイと、美術・編集・衣装のウィリアム・チャン(張叔平)が一緒に作り上げたもの。例えばマギー・チャンが纏うたくさんのチャイナ・ドレス。凝った生地、マギーの体にぴったりした仕立て。マギーの色気が際立つ。ストッキングがちゃんとシーム入りなのもツボだ。あと60年代らしい調度や小物の数々。目がうばわれる。

今年、シネマート六本木、キネカ大森、文芸座でカーウァイ監督のリバイバル上映があった。うれしかったけど、今回、上映されてない作品もあるので、それも含めて、またカーウァイ作品をスクリーンで見直せたらいいなあ。