映画『ブエノスアイレス』

六本木シネマートのウォン・カーウァイスペシャルで、ひさびさに『ブエノスアイレス』(原題:春光乍洩、英題:Happy Together/1997年/香港)を見た。

リバイバルの度にスクリーンで見てるけど、何度見てもまだ飽きない。なんで、こんな好きなんだろうと思うけど、自分でもよくわからない。でも、きっとまた見ちゃうんだろうな。

ゲイのカップル、ウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)が主役だけれど、どんなカップルにも当てはまるような普遍性があるのが好み。

愛し合ってるのに、傷つけ合って。ある種、共依存的な関係に陥ってるふたり。私はトニー・レオンさんびいきなので、ずっとレスリーったらひどいと思ってた。でも、ひさびさに見直したら、パスポート隠すとか、トニーさんもひどいね。トニーさんがいなくなった後の部屋で、トニーさんがしていたように暮らし始めるレスリーがすごくせつなかった。

チャン・チェンが若くて、チャーミングだった。ウィンとの関係に疲れたファイが、彼になんとなくいやされて、惹かれるのわかる。だけど踏み込めないのもわかる。その位、スクリーンの中の彼は無垢だ。

ウィリアム・チョンが、手がけた美術も好きだ。あんな部屋で暮らしてみたいと思わせる。そして、イグアスの滝を模した、あのランプ、いまだに見ると欲しくなる。

そして、やっとファイがたどり着いたイグアスの滝の不気味な迫力。カーウァイ監督の映画は、スクリーンがよく似合う。